Online edition:ISSN 2758-089X
液体クロマトグラフィー/負イオンマススペクトロメトリーを用いたラット網膜および水晶体脂肪酸の分析
最近,日下ら1)は液体クロマトグラフィー/負イオンマススペクトロメトリー(LC/NIMS)を用いて定性的,半定量的に遊離型脂肪酸を分析し得る迅速かつ単純な方法を見いだした.この方法によりラット網膜および水晶体の全脂肪酸を分析し検討した.その結果,網膜においては多量の極長鎖多不飽和脂肪酸を含むが,水晶体にはそれが認められず(ただし,C16:1'18 : 1などモノ不飽和脂肪酸は相対的に多い),また水晶体には奇数脂肪酸も有意な量で含むのに対して,網膜ではそのようなことはないということが明らかにされた.これらの結果は,網膜と水晶体における脂肪酸起源の異質性をうかがわせるものであり,これらの組織における各種眼疾患の病因の究明に資するものと思われる.(平成3年3月4日採用)
- 著者名
- 鈴木 隆司
- 巻
- 17
- 号
- 1
- 頁
- 77-82
- DOI
- 10.11482/KMJ17(1)77-82.1991.pdf