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ヒト胸膜弾力繊維の構造と発育

ヒト肺の臓側胸膜の結合織における弾力繊維について,形態発育と解剖学的構造に関して検討を行い,次の結果を得た.|)胎児期(妊娠後期)から新生児期では,肺臓側胸膜中皮直下の弾力繊維は非常に未熟で,非連続的な1層の層板構造を呈するのみで,全く未発達な部分もまれでなかった.2~3歳になると,弾力繊維層は内層が新たに加わって,お互いに独立した内外2層に分かれ,以後90歳代の老年期にいたるまでこの2層構造が保たれた.2)抗αエラスチン抗体による免疫染色上,胎児期(妊娠後期)および新生児期では,弾力繊維中心部の無染色部分がほとんど識別されなかったが,3歳頃になると中心の無染色部分が明瞭になり,以後老年期にいたるまで同様であった.3)外層を構成する胸膜弾力繊維の直径は,胎児期で0.8±0.2μm,新生児期で0.7±0.3μm,乳児期から学童期で1.5±0.6μm, 10歳代で2.0±0.4μmと徐々に太くなるが,20歳代以後はあまり変化せず, 2.3±0.3μmであった.4)走査電子顕微鏡的観察上,ヒト肺の臓側胸膜における外層の弾力繊維層は明らかな有窓膜(fenestrated lamina)を形成し,この完成時期はほぼ3~4歳以降と考えられた.一方,内層の弾力繊維層は不規則な網目状のメッシュ構造を呈していた.(平成3年2月28日採用)
著者名
吉田 徹
17
1
83-91
DOI
10.11482/KMJ17(1)83-91.1991.pdf

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