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Online edition:ISSN 2758-089X

母子垂直感染により発症したHTLV-I associated myelopathy (HAM)の1例

母子垂直感染により発症するHAMが最初に報告されて3年が経つが,輸血により発症するHAMに比し,副腎皮質ホルモンが有効でない症例が比較的多いといわれている.今回われわれは母子垂直感染により発症したと考えられるHAMで,副腎皮質ホルモンが有効であった1例を経験したので報告する.症例は22歳の男性,主訴は歩行障害.入院時両下肢の痙性麻痺,下肢腱反射の亢進と病的反射の出現をみた.抗HTLv-I抗体価は,血清1 : 16,384 (母親1 :8,192),髄液1:256 (PA法)で,血清および髄液中にATL様細胞を認めた.以上からHAMと診断し,副腎皮質ホルモンによる治療を行った結果,臨床症状,抗体価ともに改善傾向を示し副腎皮質ホルモンが有効であった.                  (平成3年4月3日採用)
著者名
児玉 洋幸,他
17
1
92-96
DOI
10.11482/KMJ17(1)92-96.1991.pdf

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