h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

当院における小腸カプセル内視鏡検査の5年間の集計

 カプセル内視鏡は従来,診断困難であった小腸病変の検出に有効な非侵襲的検査法であり,2007年10月より,原因不明の消化管出血(OGIB)に対して保険診療として認可されている.当院において過去5年間に施行した小腸カプセル内視鏡検査について集計し,患者の臨床背景およびカプセル検査により検出された病変について検討した.2009年3月より,リアルタイムビューアを導入し,十二指腸に2時間以内にカプセルが到達するように,飲水負荷,メトクロプラミド筋肉注射,さらに内視鏡下の回収ネットによるカプセルの誘導を行った.原則2名の医師でカプセル画像を読影した.5年間に施行されたカプセル内視鏡検査は,341例(男性187例 女性154例で,平均年齢64歳)に対して,404件であった.基礎疾患として,虚血性心疾患,弁膜症術後,心房細動等の心疾患を有する例が多く(18.4%),腎不全例も8.7%含まれていた.検査目的は,原因不明消化管出血が64.1%と最も多く,カプセルを2回繰り返した例は,36例(10.6%)であった.抗血栓薬を内服している例は,118例(34.6%)で,低用量アスピリンが最も多く,全体の23.4%であった.検出病変の内訳では,小腸びらん・潰瘍病変が最も多く(41.9%),約半数は,アスピリンを含めたNSAIDs 起因性小腸粘膜傷害であった.Angioectasia は13.8%,小腸腫瘍は15.2%で,異常所見を認めなかった症例は,16.1%のみであった.1例にカプセルが滞留し,ダブルバルーン小腸内視鏡で回収した.ペースメーカー装着6例に対して安全に施行でき,良好な画像が得られた.検査後,内視鏡的止血術を9例に,内視鏡的ポリープ切除術を5例に,外科手術を12例(空腸癌,脂肪腫,GIST 各2例, Heyde 症候群,若年性ポリープ,重複腸管内翻,pyogenic granuloma,メッケル憩室,Inflammatory fibroid tumor 各1例)に施行した.小腸カプセル内視鏡検査は,基礎疾患を有する高齢者に対しても安全に施行でき,病変検出率が高く,小腸疾患の診療に有用と考えられた.(平成24年4月9日受理)
著者名
塩谷 昭子,他
38
3
97-105
DOI
10.11482/KMJ-J38(3)097

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