Online edition:ISSN 2758-089X
僧帽弁閉鎖不全症において前・後負荷軽減が心血行動態に及ぼす影響 一実験的僧帽弁閉鎖不全犬を用いた研究一
僧帽弁閉鎖不全(MR)に対する減負荷時の心血行動態の変化とその機序を解明する目的で,実験的MR犬13頭を対象に前・後負荷を制御することにより心血行動態を検討した.(1)下大静脈狭窄による前負荷軽減にて全心拍出量は減少し,前方拍出量は不変であった.収縮期房室間圧較差は不変であったが,逆流僧帽弁口面積(MROA)は全収縮期にわたって減少し,逆流量は有意に減少した.(2)hydralazine chloride投与による後負荷軽減にて前方拍出量は増加, MROAと房室間圧較差は収縮後期のみ減少し,逆流量は不変であった.(3)前・後負荷軽減時には前方拍出量は増加し,逆流量は減少した.MROAと房室間圧較差はともに減少した.MRにおける減負荷時の血行動態の特徴とその機序が示され,臨床上減負荷療法を行う上で重要な成績と思われた. (平成3年10月22日採用)
- 著者名
- 河原 洋介
- 巻
- 17
- 号
- 3
- 頁
- 215-223
- DOI
- 10.11482/KMJ17(3)215-223.1991.pdf