Online edition:ISSN 2758-089X
慢性骨髄性白血病におけるBCR再構成部位と臨床経過に関する検討
慢性骨髄性白血病(CML)では,特有の染色体転座に伴って,9番染色体上の癌遺伝子ABLと22番染色体のBCRの再構成が生じ,近年,この検索は,診断上不可欠になってきている.最近では, BCR遺伝子内の切断部位により,慢性期(CP)の期間が異なっているとの報告もみられ,このBCR再構成は予後を検討するうえでも,重要な情報である可能性が示唆されつつある.今回,当科で経験した6例のCMLにおいて, BCR再構成の検査結果より切断点の存在する部位を推定し,それぞれの臨床経過と照らし合わせたところ, BCRの中でもより5’側に切断点を有する症例が,現在までのところCPのままであることが判明した.今回は,少数例の検索であるため,明確な結論には至らないが,今後症例を積み重ねて,予後判定としてのBCR再構成の検討を加えていきたい. (平成3年10月19日採用)
- 著者名
- 神山 憲王,他
- 巻
- 17
- 号
- 3
- 頁
- 237-244
- DOI
- 10.11482/KMJ17(3)237-244.1991.pdf