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Online edition:ISSN 2758-089X

胃癌の肉眼および組織学的性状の変遷一胃集団検診の立場からー

近年の胃集団検診において,発見される胃癌の形態は,すでにある診断学では,分類に困難な症例が増加している印象を受ける.このことは,今後の胃癌の診断学において重要なエピソードである.この原因を明らかにするため,岡山県における発見胃癌(昭和46年から63年までの18年間, 4,455例)を3期にわけ,年齢・性・肉眼分類・組織分類について検討した.全胃癌数は4,455例(前期821,中期1,562,後期2,072),早期胃癌は2,079例(前期336,中期646,後期1,097),進行胃癌は2,376例(前期485,中期916,後期975),分化型胃癌は2,561例(前期539,中期837,後期1,185),未分化型胃癌は1,675例(前期215,中期614,後期846)であった.その結果,肉眼分類ではBorrmann 2型と4型の増加が認められた.組織学的分類では,若年者において未分化型胃癌が増加している事実が明らかとなった.今後の胃癌早期診断において,この肉眼的・組織学的変化は重要な事実であると思われた.                            (平成3年10月25日採用)
著者名
土本 薫
17
3
245-254
DOI
10.11482/KMJ17(3)245-254.1991.pdf

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