h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

成人病集団検診における腹部超音波検査法の意義

腹部超音波検査は無侵襲で手軽な検査法であり,多臓器の疾病の発見に有用であることから,近年集団検診にも導入されるようになった. 1987年から1989年までの3年間に岡山県鴨方町と灘崎町で,老人保健法に基づく集団検診を受診した8,454人(男性2,619人,女性5,835人)に腹部超音波検査を行い,その成績を集積し,成人病集団検診における腹部超音波検査法の意義について検討を行った. 対象臓器は肝・胆・膵・脾・腎・大動脈としたが,可能な限り腹部全体を走査した.使用装置は,横河RT2600, RT2800, RT3000,アロカSSD650で3.5MHzリニア型・コンベックス型探触子を用い,検査終了後にVTRを倍速再生して,複数の医師によりダブルチェックを行った.走査は竹原式に準じた標準走査法を作成して行った. 有所見率は38.4%であった.疾患別有所見率は脂肪肝12.1%,腎嚢胞11.0%,胆石5.8%,肝嚢胞5.7%,胆嚢ポリープ4.0%の順であった.癌を19例(0.22%)発見した.すなわち,原発性肝癌5例(0.06%),胆嚢癌1例(0.01%),膵癌1例(0.01%),腎癌7例(0.08%)のほか,胃癌2例(0.02%),膀胱癌2例(0.02%),卵巣癌1例(0.01%)で,13例(68.3%)が根治切除された. 腹部超音波集団検診における癌発見率0.22%及び切除率(肝癌を除く) 92.9%は,胃集団検診の胃癌発見率0.19%・切除率93.8%に匹敵する結果であった.腹部超音波集団検診は,癌の早期発見及び潜在性疾患の検出に有用であり,積極的に一次検診から導入すべきであると考えられる.対象臓器は肝に限定せず胆・膵・腎・脾・腹部大動脈を加えることで有用性が増した.腹部超音波集団検診と胃集団検診を併用することで集団検診の受診率増加が認められた.これらの結果から,成人病集団検診における腹部超音波検査法の重要性は,さらに増加することが示唆された.          (平成3年10月25日採用)
著者名
福嶋 啓祐
17
3
255-267
DOI
10.11482/KMJ17(3)255-267.1991.pdf

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