Online edition:ISSN 2758-089X
硝子体手術後に網膜静脈分枝閉塞症を来したタモキシフェン内服患者の1例
タモキシフェンは主に乳癌治療薬として使用されているが,眼副作用の報告は非常に少ない.今回,タモキシフェン内服患者における,硝子体手術後に発症した網膜静脈分岐閉塞症(branch retinal vein occlusion,以下BRVO)の1例を経験したので報告する.症例は51歳女性,乳癌の術後1日量20 mg のタモキシフェンによるアジュバント療法を受けていた.2年後に左眼の黄斑円孔が発見され硝子体手術を行った.後部硝子体剥離を起こしている際にアーケード血管から出血を認めたため出血部位の圧迫及び眼内灌流圧を上げることで止血を行った.術翌日には黄斑円孔の閉鎖が確認されたが,術後15日目に出血部位を閉塞起点とするBRVO を認めた.視力は左矯正0.7 pと術前と比べほぼ変わりはなかったが,光干渉断層計で黄斑浮腫を認めたためベバシズマブ硝子体内投与を行った.同時にタモキシフェンによる副作用を疑い,内服を中止した.タモキシフェンの眼副作用として,BRVO も念頭におく必要がある. doi:10.11482/KMJ-J40(2)129 (平成26年7月23日受理)
- 著者名
- 岩浅 聡,他
- 巻
- 40
- 号
- 2
- 頁
- 129-133
- DOI
- 10.11482/KMJ-J40(2)129