h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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肝癌に対する制癌剤の経門脈的投与療法に関する基礎的研究 一肝細胞障害防止と効果増強について一

肝細胞を制癌剤による障害から保護する目的で, fructose溶液を経門脈的に注入し,肝エネルギーレベルを一過性に低下させる方法を考案した.門脈内にfructose溶液を持続注入すると,肝細胞に特有なfructokinaseによってfructoseはfructose-1 -phosphate に代謝され,ATPを消費して, ATPが回復するまで肝エネルギーレベルは低下した状態にとどまるため,高濃度の制癌剤を分解する反応も低下し,有害な中間代謝物やフリ-ラジカルの発生が抑制される. 40 % fructose溶液を経門脈的に5分間注入した場合, total adenine nucleotide とenergy charge は低下し,注入終了後60分で両者は注入前値に回復し,一過性に肝エネルギーレベルを抑制することができた.またこの際, doxorubicin をfructose溶液と同時に投与しても, energy chargeはfructose溶液の注入終了時に10.45 ±O.04 に低下し,投与終了後60分で前値に復した.ラット大腸癌の肝転移モデルにdoxorubicinとfructose溶液を併用投与した場合,正常肝細胞は代謝が抑制されているにもかかわらず,同時に投与したdoxorubicin の抗腫瘍効果は抑制されず, GOT ・GPTの測定でも,肝細胞障害を抑制する傾向が示された.   (平成2年2月19日採用)
著者名
延藤 浩
16
1
29-38
DOI
10.11482/KMJ-J16(1)29

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