h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

β6位にアミノ酸置換をもった異常血色素(Hb S, Hb C, Hb Machida)のPCR法(Polymerase Chain Reaction)による遺伝子解析

異常血色素(HbS[β6 (A3) Glu→Val],HbC[β6 (A3) Glu→Lys]やHb Machida[β6 (A3) Glu→Gln])保因者の末梢血液中白血球層から調製されたDNAを1対のamplification primer と熱安定性Taqポリメラーゼによって増幅した.増幅DNAは2種の制限酵素(Sph Ⅰ とHindⅢ)で消化し,アガロースゲル電気泳動-DEAEセルロース抽出法によって精製後,同種制限酵素で処理されているM 13mp 19ベクターに組み込まれた.DNA sequencingはdideoxy法で行い,β6位コドンの塩基置換について調べた. Hb S,HbCやHb Machida の異常β遺伝子のβ6位コドンは,正常βA遺伝子でGAGであるのに対し,βs遺伝子ではGTG,βc遺伝子ではAAG,そしてβMachida遺伝子ではCAGであった.これらβ6コドンの変異はそれぞれの異常血色素の置換アミノ酸に相当するものであった.この方法は異常血色素,特に(超)不安定異常血色素の一次構造解析の有益な方法となると考えられる.                        (平成2年3月12日採用)
著者名
原野 昭雄,他
16
1
101-106
DOI
10.11482/KMJ-J16(1)101

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