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Online edition:ISSN 2758-089X

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実験的大動脈弁閉鎖不全犬において心拍数が心血行動態に及ぼす影響に関する研究 ―第1報一

実験的大動脈弁閉鎖不全(AR)犬を用いて心拍数が心血行動態に及ぼす影響を検討した.雑種成犬18頭を対象に,バスケット型カテーテルを用いてARを作製した.それぞれコントロール時,軽症AR(平均逆流率:37.1%)時,重症AR(平均逆流率:68.0%)時に,右房ペーシングにて心拍数毎分90より段階的に増加(90 ・ 100 ・ 120 ・ 140 ・ 160 ・ 180)させ心血行動態諸指標を記録した.1)コントロール時:心拍数の増加とともに,心機能曲線は左上方に移動した.また,乳酸摂取率と冠静脈洞酸素飽和度は不変であった.2)軽症AR:逆流率は心拍数が増加しても不変であった.心機能曲線は毎分120までは亢進したが,それ以上では左下方に移動した.乳酸摂取率と冠静脈洞酸素飽和度は不変であった.3)重症AR:逆流率ならびに全末梢血管抵抗は,心拍数毎分140までは著明に改善したが,それ以上では悪化した.心機能曲線は,心拍数毎分140までは著明に改善したが,それ以上では右下方に移動し悪化した.左室拡張末期の圧・容積関連では,心拍数毎分160から180にかけて左上方に移動した.心拍数毎分160から180にかけて,乳酸摂取率と冠静脈洞酸素飽和度の有意な減少が認められた.以上の成績より,重症ARでは,心拍数毎分140までは逆流率が減少し,心血行動態の改善が得られた.しかしそれ以上では全末梢血管抵抗増大による逆流率の増加と心筋虚血の出現のため,心血行動態は悪化した.また,軽症ARでは心拍数の影響が少なかった.(平成2年8月2日採用)
著者名
中村 節
16
2
119-134
DOI
10.11482/KMJ-J16(2)119

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