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Online edition:ISSN 2758-089X

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アスベスト(クリソタイル)線維によるリンパ球への影響(Ⅱ)クリソタイル線維によるサプレッサー・インデューサーTリンパ球の活性化

アスベスト線維のーつであるクリソタイル線維が末梢血リンパ球のCD4+細胞を選択的に刺激していると考えられる旨を第1報で報告した.本論文では,さらにCD4+細胞のどのサブセット(CD4+ 2H4+ あるいはCD4+ 4B4+)を刺激しているかについて検討したところCD4+ 2H4+いわゆるsuppressor-inducer細胞の活性化が認められた.すなわち,培養12時間後では, CD4+ 2H4+細胞の割合および蛍光強度がクリソタイル線維負荷により一時的に低下し, 24,48時間はクリソタイル無処理群とほとんど差を認めないまでに回復した. CD4+4B4+細胞では,このような変化は認められなかった.また,これに伴うIL2 receptor (IL-2R)発現および細胞内カルシウム(Ca++)の増加を認めた.これらの結果より, CD4+ 2H4+(suppressor-inducer)T細胞か選択的に刺激されていると考えた.このCD4+ 2H4+ (suppressor-inducer) T細胞の選択的刺激は,以前報告したPHAとリンパ球結合の増強がCD8+細胞において顕著であったことの関連が示唆された.クリソタイル線維によるsuppressor T細胞の活性化は,アスベスト労働者でみられる癌発生あるいは自己免疫において重要な役割を示すと思われる.    (平成2年6月4日採用)
著者名
絹川 敬吾
16
2
172-179
DOI
10.11482/KMJ-J16(2)172

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