h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

下顎埋伏智歯抜歯により起こる下唇知覚障害防止への試み―CT検査と歯冠切除術について―

 パノラマXP 撮影で下顎埋伏智歯と下顎管(以下は管)が近接した時は抜歯後に下唇知覚障害が起こることがある.下唇知覚障害の発生をより確実に予見するために術前CT 検査を行い,またその発生を可及的に防止するためにcoronectomy(歯冠除去術)を導入し,それらの有用性について検討を行った.平成21年1月から平成22年12月の2年間に,下顎埋伏智歯の抜歯のために川崎医科大学附属病院歯科・口腔外科を受診した患者のうちで,パノラマXP 撮影で下顎埋伏智歯と管が近接した12例,16歯について智歯と管との関係を精査するためにCT 検査を行った.画像検査所見を踏まえて,処置内容ならびに起こりうる術後合併症を説明し処置法を決定した.パノラマXP 所見とCT 検査所見を比較し,埋伏歯と下歯槽神経との関係を検討した.また診療録より処置内容,術後の異常経過の有無を調べた.1)パノラマXP では管の陰影欠損が13歯,管の湾曲が2歯であった.2)C T 検査での管と歯根の関係はType2(歯根の管内への突出)が13歯で,3歯は突出がなかった.3)10歯(すべてType2)は経過観察が選択され,3歯は歯冠を分割した通法の抜歯術,3歯(すべてType2)は歯冠除去術を行った.4)異常経過はなかった.パノラマXP で下顎埋伏智歯歯根により管壁に陰影欠損もしくは湾曲が見られた時は,CT 検査で歯根の管内突出が確認された.このような場合は,通法の歯冠と歯根を同時に摘出する抜歯術により下唇知覚障害の可能性が高くなることが推測され,追加のCT 検査は患者の理解に役立った.下唇知覚障害の発生を防ぐことが可能な歯冠切除術は患者に納得の得られる有効な選択肢になると思われた.(平成24年1月25日受理)
著者名
畑 毅,他
38
1
19-24
DOI
10.11482/KMJ-J38(1)019

b_download