Online edition:ISSN 2758-089X
Ethylnitrosourea誘発ラット実験脳腫瘍の微小血管構築に関する研究 ―血管鋳型走査電顕法による検討―
脳腫瘍の微小血管は腫瘍の循環代謝や頭蓋内に発生する複雑な病態とも密接に関連する重要な因子である.本研究では, ethylnitrosourea経胎盤投与により誘発した実験脳腫瘍の微小血管構築および腫瘍血管の形成過程について血管鋳型走査電顕法を用いて立体的に検討した.長径が2mm未満の微小腫瘍では腫瘍血管の形成は認められず,むしろ微小血管の乏しい部分として観察されたが,長径が2mm以上の腫瘍になると正常脳には存在しない特徴的な形態を有する腫瘍血管が形成され,血管鋳型標本から腫瘍の存在を確認することができた.これら腫瘍の各部位における微小血管構築について詳細に検討し,腫瘍の血管新生およびその形成過程や形成された腫瘍血管の2次的変化を示すと考えられる種々の形態学的所見を明らかにした.(昭和63年10月26日採用)
- 著者名
- 菊岡 政久
- 巻
- 15
- 号
- 1
- 頁
- 62-71
- DOI
- 10.11482/KMJ-J15(1)62