尿中赤血球形態による腎尿路障害の鑑別診断に関する研究 第1報 尿中赤血球の形態変化についての基礎的検討 血尿の発現機構を探り,その病態を明らかにする目的で糸球体疾患5例,非糸球体疾患5例の尿沈渣赤血球形態を走査型電子顕微鏡で詳しく観察した.また浸透圧,pHの変化の赤血球形態に与える影響を検討した.尿中赤血球には有棘赤血球,扁平な不整円形赤血球,球状赤血球,菲薄化赤血球等が認められた.菲薄化赤血球は糸球体疾患例全例に認められたが,非糸球体疾患例には認められなかったことから糸球体性血尿に特徴的な変形形態であると考えられた.また糸球体性血尿にみられる尿中赤血球変形の成因は尿細管における浸透圧およびpHの変化以外の未知の因子が主体であると考えられた.(昭和63年10月31日採用)