尿中赤血球形態による腎尿路障害の鑑別診断に関する研究 第2報 尿中赤血球形態診断におけるWright染色法の有用性 血尿の由来の鑑別を容易ならしめる目的でWright染色法と位相差顕微鏡法を用いて糸球体疾患30例,非糸球体疾患25例の尿沈渣赤血球形態を観察した.位相差顕微鏡法においては赤血球ghostと菲薄化赤血球の判別が困難な場合が多かったが, Wright染色法では赤血球内のhemoglobinを染めることにより両者の判別は明確であった.糸球体性血尿において菲薄化赤血球が全例で認められるのに対して,非糸球体性血尿ではごくまれにしか認められなかった.また,糸球体性血尿では菲薄化赤血球が30%以上に認められ,非糸球体性血尿では菲薄化赤血球は14%以下であり,両者の鑑別は極めて容易である.(昭和63年10月31日採用)