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テスト問題の良否を識別係数で識別してよいか

医師国家試験・歯科医師国家試験などの国家試験では各問題の良否をφ係数を使って,次のように判定している.各問題について成績上位者と下位者をとりだし,成績上位者が多く正答し,下位者が多く誤答した問題を「良い問題」と判定し,逆に上位,下位で正答した人数が変わらないか,あるいは下位のほうがよくできた問題を「悪い問題」として採点から除外する.φ係数はこの問題良否の判定基準として使用されている.しかしながら,問題の良否(問題の質)を1回限りのテストの成績上位者・下位者の正答人数,誤答人数(データ)で評価することが果たして妥当であろうか.我々はこれを確率モデルを使って,コンピュータ・シミュレーションによって検討した.確率モデルを用いた解析の結果,φ値は大きな変動幅をもって分布することが示された.また320問からなるテストでφ値のコンピュータ・シミュレーションを行ったところ,54問が0.20以下の「悪問」と判定された.以上の結果から,問題の良否の判定をφ係数の数値のみによって判定することはきわめて危険であることが示された.(昭和63年12月12日採用)
著者名
有田 清三郎,他
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109-116
DOI
10.11482/KMJ-J15(1)109

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