患者は70歳男性.急性心筋梗塞で入院.心電図は, II, III, aVFに限局する純下壁梗塞所見を呈した.冠動脈造影では,左前下行枝は心尖部をまわり後室間溝を上行し,その左前下行枝末梢側に高度狭窄を認めた.左室造影上,同部に一致した限局性心室瘤を認めた.したがって本例の梗塞責任冠動脈は左前下行枝と考えられた.左前下行枝を責任冠動脈とする下壁梗塞はまれで,その場合多くは前壁梗塞を合併する.本例で心電図上純下壁梗塞を呈した機序として,左前下行枝の解剖学的特異性および末梢部閉塞の2点の関与が考えられた.(昭和63年10月29日採用)
著者名
覚前 哲,他
巻
15
号
1
頁
151-155
DOI
10.11482/KMJ-J15(1)151
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