Online edition:ISSN 2758-089X
化学的消化法を用いた肝の走査型電子顕微鏡的研究―増生細胆管の観察―
増生した細胆管の立体的構築および非自由表面像を明らかにする目的で,化学的消化法(HCl-collagenase法)を用いた走査電顕的観察を行い,次のような結論を得た.1.本法は増生細胆管の立体的構築とその非自由表面を観察するのに有用な方法であった.2.明瞭な管腔を形成しながら増生する定型的細胆管と管腔形成の不明瞭な非定型的細胆管の立体的構築を明らかにした.すなわち前者は,多方向性に複雑に吻合しながら走行し,後者は連珠状の膨らみをもち,複雑な吻合を形成しながら屈曲,蛇行していた.3.増生した細胆管の非自由表面の観察では,基底側の上皮細胞間隙が,非定型的細胆管に比較して定型的細胆管で有意に広かった.4.結合組織に残された増生細胆管の鋳型面の観察では,その走行を知ることができたにとどまった.鋳型の詳細な観察には実質細胞成分を消化除去し,結合組織の線維性成分を残して観察する方法が必要と考えられた.(平成元年2月20日採用)
- 著者名
- 釋舎 龍三
- 巻
- 15
- 号
- 2
- 頁
- 242-255
- DOI
- 10.11482/KMJ-J15(2)242