Online edition:ISSN 2758-089X
肺気道系におけるリンパ装置及び免疫応答機構の解析―その1.ヒト健常,病的肺における組織学的及び免疫学的検討―
健常と思われた剖検肺11例(平均年齢56歳,男:女=6:5)及び気道系に慢性炎症を伴った外科摘出肺2例(36歳女,86歳女)を用い,気道上皮層内に存在するintraepithelial lymphocyte (IEL)とbronchus-associated lymphoid tissue (BALT)について組織学的,及びLCA, MT1, LN2, S-100 protein, lysozymeを用い免疫組織学的に検討した.その結果,気道上皮層内には非上皮性の細胞として少なくともTリンパ球とLN2陽性の細胞が存在し,これらは末梢気道にいくに従って気道円周当たりの数は減少していた.また,慢性炎症を伴う気道病変では気道上皮層内のTリンパ球は増加し,上皮下にはBリンパ球を主体とするリンパ球の集合巣があり,健常肺には存在しなかったBALTの形成が認められた.これらの結果から. IELこそが局所免疫機構発現の出発点となっているのではないかと推測された.(平成元年3月2日採用)
- 著者名
- 杉原 佳子
- 巻
- 15
- 号
- 2
- 頁
- 268-276
- DOI
- 10.11482/KMJ-J15(2)268