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Online edition:ISSN 2758-089X

小児顎嚢胞の臨床的観察 ―成人顎嚢胞との対比において―

最近10年間に当科において,顎骨嚢胞と診断され処置を受けた患者のうち,病理組織学的に検索が可能であった症例について,臨床的に検討した小児の顎骨嚢胞を中心にその概要を報告する.対象となった顎骨嚢胞全症例数は122例で,その内訳は歯根嚢胞が68例と最も多く,ついで濾胞性歯嚢胞26例であった.その他残存嚢胞,歯原性角化嚢胞,顔裂性嚢胞,術後性上顎嚢胞,外傷性骨嚢胞などがあった.15歳以下の小児の顎骨嚢胞は18例で全体の14.8%を占めた.このうち最も多くみられた嚢胞は濾胞性歯嚢胞の14例で全濾胞性歯嚢胞の過半数を占め本嚢胞の発生年齢の若年傾向がみられた.また残存嚢胞,歯原性角化嚢胞,顔裂性嚢胞,術後性上顎嚢胞は小児例ではみられなかった.(平成元年3月17日採用)
著者名
華房 英樹,他
15
2
294-300
DOI
10.11482/KMJ-J15(2)294

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