h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

低酸素状態における脳内モノアミンの変動

ラットを用いて60分間の低酸素負荷中および負荷後における脳含有monoamine (noradrenalin : NA, dopamine : DA, serotonin : 5-HT)の変動を測定し,低酸素がこれらのmonoamineに及ぼす影響を検討した.低酸素負荷は,6%02および94 % N2Oの混合ガスを流入した密封chamberにラットを留置することによって行った. monoamineの測定は,ラットを断頭した後,脳の各部位をすみやかに摘出し. high performance liquid chromatography (HPLC法)で,皮質,線条体,視床下部,海馬,脳幹の5か所について,負荷中および負荷120時間後まで経時的に行った.その結果,NAは皮質,視床下部,脳幹で低酸素負荷により増加し,30分でピーク値を示した.その後減少し,これらの部位ではよく似た変化様式を示した.いずれの部位も低酸素負荷終了120時間後にはcontrol値に復した.DAは海馬を除くすべての部位で低酸素負荷により増加し,30分で最高値に達した.その後徐々に低下し,負荷後120時間後にはcontrol値に復した.ただし,海馬は, 120時間後には最も低値を示した.5-HTはいずれの部位においても低酸素負荷により徐々に上昇し,負荷後も高値を示した. 120時間後においても皮質,線条体,視床下部,および海馬ではcontrol値より高値を示した.以上,脳における低酸素負荷は, monoamineの活性化を促進するが,この場合, NAやDAが一過性であるのに対し, 5-HTは持続的であるのが特徴であった.このことは,5-HTの神経細胞もしくは線維における低酸素による障害の機序が,NAやDAと異なることが示唆された.(平成元年2月23日採用)
著者名
前之園 晃幸
15
2
311-319
DOI
10.11482/KMJ-J15(2)311

b_download