h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

心筋収縮に対するCaチャネル遮断剤の抑制作用と回復期における増強作用

ウシガエル心房壁筋にnifedipineを与えると,収縮は減弱ないし消失するが,ここでnifedipineを分解する目的でxenon光を照射すると,その作用からの回復期において収縮力が一過性に増大する.この一過性収縮増強は30%以上にも達し数分持続した後,対照値にもどる.この収縮力増大は単にnifedipineを洗い去るだけではおこらない. xenon光は紫外線を含み,それ自体収縮を増強する作用を有しているが,その程度は10%にすぎないnifedipine作用後の一過性収縮増強作用は, nifedipine作用中Ca流入が減少して細胞内のCa除去機構は抑制された状態にあり, nifedipineが速やかに分解されるときはCa流入は回復するが,Ca除去機構の抑制が残存していることが,収縮の一過性増大をもたらす原因と推測される.このCa除去機構のーつとしてNa-Ca交換の抑制が考えられる.(平成元年2月28日採用)
著者名
大北 幸生
15
2
320-327
DOI
10.11482/KMJ-J15(2)320

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