Online edition:ISSN 2758-089X
γ鎖グロビンにアミノ酸置換を起こした異常ヘモグロビンの構造決定―HbF-Onoda
健康な新生児の臍帯血から得た溶血液を等電点分画すると,HbFとHbAの間に泳動される異常ヘモグロビンがあることを示した.この異常ヘモグロビン含量は全ヘモグロビンの26.4 %を占め,またHbF含量は48.7%であった.グロビンのCM-セルロースカラムクロマトグラフィーぱγ鎖異常を示した.構造解析は,異常γ鎖のトリプシン消化物のフィンガープリントにみられた異常ペプチドのアミノ酸分析や,カルボキシペプチダーゼAによるC一末端アミノ酸分析によって行われた.この結果,異常γ鎖では,C一末端位(γ-146)においてHis→Tyrの置換が起こっていた.またγ-75位とγ-136位のアミノ酸は,それぞれ11eとGlyであった.このアミノ酸置換をもつヘモグロビンの例は,これまでに報告はなく,我々はこの臍帯血液の採取された病院のある市名にちなんでHbF-Onoda [a2 GγI2 146 (HC3)His→Tyr]と命名した.(平成元年4月4日採用)
- 著者名
- 土井 和子,他
- 巻
- 15
- 号
- 2
- 頁
- 328-333
- DOI
- 10.11482/KMJ-J15(2)328