陳旧性涙道障害に対する治療法 ―結膜涙嚢鼻腔吻合術について― 内眼角部の外傷後に流涙を認めることは意外に多い.これらの涙道障害には結膜涙嚢鼻腔吻合術が多用されているが,いくつかの問題点を残している.それは, Jonesチューブが脱落しやすいことであり,また,チューブが埋もれたり位置が変わったりすることである.田辺らは,ヒト保存強膜やヒト凍結乾燥硬膜を使用し,これらの問題を解決している.1)私たちは,シリコンチューブの周囲にヒト凍結乾燥硬膜または凍結乾燥豚皮を用いJonesチューブの固定をはかっているが,とくに凍結乾燥豚皮は容易に手に入り,安価であることから有用であると思われる.私たちの結膜涙嚢鼻腔吻合による涙道再建術を,若干の文献的考察とともに報告する.(平成元年5月29日採用)