Online edition:ISSN 2758-089X
剖検例からみた深在性真菌症 ―本学における過去14年間, 1985例の解析―
開院から1987年までの14年間に本学附属病院,病院病理部で行った剖検例1985例を利用し,深在性(内臓)真菌症についていろいろな角度から検討を加えてみた.本学では,真菌感染症は剖検例の約10%に認められ,これは全国統計での出現率より低かった.菌種はCandida, Aspergillusが圧倒的に多かった.近年減少傾向にあるが,いったん減少傾向にあったCandidaは最近横ばいないし再燃してきている. 1984年よりTrichosporon感染症が出現した. Candida感染症は胃,食道などに発生しやすく経口感染を, Aspergillusは経気道的感染をTrichosporonは直接血行性に感染を引き起こすことが推測された.基礎疾患としては,白血病・悪性リンパ腫,肺癌など免疫力が低下したものに多かった(98%).(平成元年5月15日採用)
- 著者名
- 原田 美貴,他
- 巻
- 15
- 号
- 3
- 頁
- 499-505
- DOI
- 10.11482/KMJ-J15(3)499