h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

正常肺の末梢気道組織構築像の検討  Ⅲ.膠原線維,弾性線維が作る組織構築の違いを中心として

肺末梢気道であるいわゆる移行帯は,結合線維束が作り出す組織学的支柱構造の面からみても,機能的単位である気道系と,気腔系との接点となっており,ひずみを生じやすいことが知られている.本報告は,線維成分の中でも膠原,弾性両線維について,走行,加齡変化を厚切り組織切片を用いて観察した結果を呈示し,そのひずみを生じやすい構造上の特徴をよりよく理解することを目的としている.我々の観察では,各年齡とも膠原線維は気道系を中心に分布し,気腔系には明らかでなかった.この線維は組織の構造,特に気道系の固定に関与している可能性がある.弾性線維は,謬原線維の分布しない肺胞壁にも存在するとともに,気道系,気腔系以外の弾性線維系とも連続性を有し,肺内組織全体にわたってのネットワークを形成していた.いずれにせよ,各線維の走行は,移行帯部分を境に大きく異なっており,この部が組織構築上,機能上変化の激しい重要な部分であることが推測された.既存の生理学的知識を基礎として,これら線維の構築上の特徴,利点,欠点について考察を加えた.(平成元年6月3日採用)
著者名
森谷 卓也,他
15
3
506-513
DOI
10.11482/KMJ-J15(3)506

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