内視鏡的ポリペクトミーにて切除した大腸脂肪腫 ―2症例報告と文献的考察― 症例1は72歳,女性,右下腹部痛で本院を訪れた.注腸X線と大腸内視鏡検査で盲腸に亜有茎性の隆起性粘膜下病変が認められた.内視鏡的ポリペクトミーにて切除された標本の大きさは1.0×1.0×0.5cm大で,組織学的に脂肪腫の疑いと診断された.症例2は44歳,女性で左腹部痛を訴えて来院した.注腸X線と大腸内視鏡検査で横行結腸左側に黄色調で有茎性の粘膜下腫瘤が認められた.切除標本は1.5×1.5×2.3 cm大で割面は黄色だった.病理組織診断は粘膜下脂肪腫だった.我々の経験と文献から脂肪腫の大きさが3cm以下で,切断辺縁が直径1cm以下であれば,内視鏡的ポリペクトミーは治療的にも診断的にも有効な手段である.(平成元年7月21日採用)