h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

側頭葉てんかんにて発症し診断上MRIが有用であった星細胞腫の1例

近年MRIの導入によって従来のCTでは診断困難であった腫瘍も描出可能となってきた.今回我々は腫瘍診断上MRIが有用であり,全摘手術にて良好な結果を得た側頭葉腫瘍の症例を経験した.症例は27歳女性で1年前より突然の心窩部不快感を伴う意識消失発作が月に1~2回出現するようになった.2ヵ月前より発作がほとんど毎日起こるようになり,当科受診となった.単純CTにて右側頭葉内側部に石灰化病変を認め,造影CTでは増強されなかった. MRIではCTでみられた石灰化病変はT1強調像でisointensity, T2強調像でhypointensityと描出され,その周囲にT1強調像でisointensity, T2強調像でhyperintensityの境界明瞭なmass lesionを認めた.中心部に石灰化を伴った脳腫瘍と診断し,1988年10月右側頭葉切除術及び腫瘍切除術を行い,組織はlow grade astrocytoma であった.術後側頭葉てんかん発作は消失し,神経学的脱落症状もみられなかった.以上より側頭葉てんかんにてCT異常像を認めた場合は腫瘍の存在を疑い, MRIを施行し手術療法を考慮すべきものと思われた.(平成元年9月20日採用)
著者名
中川 実,他
15
3
547-551
DOI
10.11482/KMJ-J15(3)547

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