肝癌手術例の臨床的検討 ―特に細小肝癌について― 昭和56年から61年末までに経験した原発性肝癌手術例21例につき臨床的検討を行った.これらのうち13例(61.9%)は3cm以内の,6例(28.6%)は2cm以内の腫瘍であった.最長生存例は4年8ヵ月で平均生存日数は18.8ヵ月である. 3 cm以下の細小肝癌で,αフェトプロティンは13例中9例(69.2%)で100 ng/ml 以内にとどまった.細小肝癌の大部分はUSかCTにより診断された.細小肝癌の術後死亡例について検討した結果,肝硬変の程度, A-Pシャントの有無,腫瘍の局在が手術の成否を決める要因と考えられた.肝硬変患者のUSによる定期的検査が早期発見に重要であった. (昭和62年6月29日採用)