Online edition:ISSN 2758-089X
比較的高齢者のバセドウ病手術
バセドウ病に対して手術が行われた339例中,手術時50歳以上で術後1年以上を経過した36例のうち,追跡調査の可能であった29例(男性8例,女性21例)に関し,術後の合併症,甲状腺機能を調べ,性,追跡期間が一致している同数の30歳未満の症例を対照とし,比較的高齢者に対し行われたバセドウ病手術に対する再評価を行った.術後早期の合併症に関しては,高齢者群と若年者群との間で差はみられず,高齢に対しても安全に手術が行われ得た.T3を指標とした臨床的甲状腺機能は,高齢者群で機能亢進2例(6.9%),正常26例(89.6%),機能低下1例(3.4%)で,若年者群のそれぞれ1例(3.4%), 27例(93.2%), 1例(3.4%)と差はみられず,高齢者であっても術後の残置甲状腺機能はよく保たれていた.高齢者のバセドウ病に対しては患者の全身状態,社会的背景などを考慮して治療法が選択されるべきである.(昭和62年7月3日採用)
- 著者名
- 片桐 誠,他
- 巻
- 14
- 号
- 1
- 頁
- 20-25
- DOI
- 10.11482/KMJ-J14(1)20