h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

抗生物質による薬剤性大腸炎と内視鏡検査

薬剤性腸炎には,出血性腸炎と偽膜性腸炎があるが,最近の7年間に19例の薬剤性腸炎を経験した.出血性腸炎は17例で,偽膜性腸炎は2例であった.出血性腸炎では,性別は男性5例,女性12例であった.年齢は,13歳から79歳に及び平均36歳であった.偽膜性腸炎では,2例とも男性で,年齢は34歳と47歳であった.原因となった抗生物質の種類は,出血性腸炎ではペニシリン系で,偽膜性腸炎ではセフェム系とアミノグリコシッド系の抗生物質であった.出血性腸炎の臨床症状は,下痢や腹痛を伴った突発する出血で,偽膜性腸炎では下痢と腹痛であった.出血性腸炎では,病変部位はS状結腸,下行結腸に多く,内視鏡検査ではびまん性発赤を認め,生検組織では,粘膜固有層に出血を認めた.偽膜性腸炎では,病変部位は下行結腸,横行結腸と全大腸で偽膜を認めた.(昭和62年9月28日採用)
著者名
星加 和徳,他
14
2
245-251
DOI
10.11482/KMJ-J14(2)245

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