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Online edition:ISSN 2758-089X

慢性閉塞性動脈疾患に伴う下肢の壊死・潰瘍症例の検討

昭和50年1月から昭和61年12月末までに当教室で入院加療した慢性動脈閉塞性疾患患者のうち,下肢の壊死・潰瘍を伴うものは142例であり,これを対象として,原疾患,血管造影上の動脈閉塞部位,初回治療と壊死・潰瘍に関する予後等について検討した.また,患肢の皮下及び骨格筋内の組織酸素分圧(PtO2)を測定し,虚血領域における組織変化についても検討した.疾患別では壊死・潰瘍例は,慢性閉塞性動脈硬化症(ASO)より閉塞性血栓血管炎(Buerger病,TAO)が高率であった.腸骨・大腿動脈など太い動脈の閉塞性病変を主とするASOにおいても,壊死・潰瘍を伴う例では,動脈閉塞が膝窩動脈以下の末梢に及ぶ例が多かった.末梢病変を主とするTAOではほほ全例で膝窩動脈以下に閉塞が見られた.major amputation を免れたものを治療有効とすると,初回治療の有効率はASOで64%,TAOで92%であった.100%酸素吸入時のPtO2が10mmHg未満の部位では骨格筋に不可逆性変化を認め,40mmHg以上の部位で切断を行えば創の一期的治癒が期待できる.(昭和62年12月23日採用)
著者名
山本 尚,他
14
2
296-301
DOI
10.11482/KMJ-J14(2)296

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