巨大薄壁空洞を呈した肺癌の1例 肺気腫のある81歳男性が血痰を主訴に入院した.入院時の胸部X線写真にて左上肺野に長径8cmの薄壁空洞を認めた.断層写真,胸部CTにおいてもほほ同様の所見で,一部壁の肥厚を認めた.気管支ファイバーによる空洞部の擦過細胞診から角化傾向のある異型細胞を検出し,またtumor marker のSCCの上昇を認めたことより,扁平上皮型肺癌と診断した本例のように巨大薄壁空洞を呈する肺癌はまれなものと考えられ,経過より考えその形成にはvalvular obstruction の関与が考えられた.(昭和63年1月8日採用)