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Online edition:ISSN 2758-089X

ヒト培養表皮の移植に関する基礎的検討 ―培養条件について―

広範囲な皮膚欠損創の治療に際して,培養表皮細胞を植皮として臨床的に応用する目的のために臨床に即した培養条件について検討し以下の結果を得た。1)細胞分離法では,ディスパーゼおよびトリプシンを用いるTakahashi, et al.の方法が比較的操作も容易であり臨床で使用する上で効率がよいと考えられた。2) DM-180 without CaCl2, 培地1Lに,インシュリン10 mg, デキサメサゾン10-6M,EGFとコレラトキシンを10μg,アデノシン48.1 mg, チミヂン0.73 mg,ピュトレッシン0.16 mg を加えた培地で良好な表皮細胞の増殖が認められた。3)この培地を用いた場合,添加する血清を1%濃度まで下げた状態で分化の抑制された最も良好なシート状の増殖が得られた。4) Type IVコラーゲンを培養基質として用いることによりfeeder layer を使用した場合に匹敵する表皮細胞の増殖が認められた。また,コーティングの際の濃度は10~30μg/mlで十分であった。5)ディスパーゼによりシート状態のまま培養表皮細胞を回収することができた。(昭和63年2月17日採用)
著者名
江藤 久志
14
3
317-327
DOI
10.11482/KMJ-J14(3)317

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