h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

人型結核菌多糖体成分による高分化型腺癌,扁平上皮癌におけるcollagen増殖と癌細胞の瘢痕化促進について

癌細胞を取り巻く血管構築を基盤とする間質成分をはじめ, extracellular matrix, および癌細胞自らが産生するcollagen増生は,発癌または癌移植時にみられる生体の示す重要な生体防御機転である. collagenの増殖は免疫亢進により増強されるがcollagen産生の始動は本質的には癌細胞の性状特に細胞膜の相異により異なるものである.腺癌の場合についてはすでに述べたが,抗原性の知られている扁平上皮癌をはじめ,肺癌の腺癌に端を発し高分化化生を来した類表皮癌,扁平上皮癌は原発巣,転移巣を問わずオリジナルの腺癌に比して著明な間質細胞の増殖とcollagen増殖を伴う間質反応が極めて顕著となる.この事実を証明するため,ヌードマウスにヒト胃扁平上皮癌・ヒト肺高分化型腺癌(類表皮癌)を移植し,他方肺未分化癌のヒト燕麦細胞癌やマウスLewis肺癌を移植して,ヒト結核菌抽出多糖体(SSM)による間質反応,特にcollagen増殖を検討したが,生検所見と同じく無処理の場合でも著明なcollagen増殖のみられる扁平上皮癌ではcollagen増殖はさらに促進され,癌増殖の抑制と限局化による癌巣の瘢痕化が促進した.これに反して燕麦細胞・Lewis肺癌等の極めて未分化でcollagen産生の全くみられないか,乏しい癌細胞の増殖は急速でSSMも無効であった.SSMの扁平上皮癌細胞へのcytocidal effect は高濃度のものを除いて弱いが,殺癌効果の顕著な放射線治療等との併用は将来癌浸潤,転移抑制に極めて期待できるものと考えられる.(昭和63年2月19日採用)
著者名
木本 哲夫,他
14
3
416-441
DOI
10.11482/KMJ-J14(3)416

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