腹水の有無と無関係に肝性胸水を繰り返した肝硬変症の1剖検例 腹水の有無と無関係に肝性胸水を繰り返した肝硬変症の1例を呈示した.初回入院時には胸,腹水ともに認められたが,以後は腹水を伴わない右胸水貯留を来した.剖検で右横隔膜の開孔部と,そこを通る大網の一部が証明された.開孔部を経て腹水の大部分が胸腔に移動し,腹水のみられない右胸水の原因となったものと考えられた.(昭和63年2月3日採用)