ラット脳における微小血管構築の検討 ―血管鋳型走査電顕法による解析― 脳の微小血管構築を立体的に追究する第一歩として,ラット脳の微小血管にメタクリレート樹脂を注入して血管鋳型標本を作製し,これを走査電顕で観察(血管鋳型走査電顕法)した.この方法により,従来の形態学的研究では困難であった脳の微小血管構築の全貌を立体的に検討することができた.さらに,血管鋳型標本の表面には内皮細胞核による特徴的な陥凹が見られ,血管内腔の構造もレプリカ面として観察された.解剖学的部位の微小血管構築を見ると,組織特有の血管密度や走行を有する立体的な微小血管構築が具体的な所見として観察され,各々の組織の細胞構築や機能に対応すると考えられる微小血管構築が明瞭となった.(昭和63年7月29日採用)