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Online edition:ISSN 2758-089X

脊髄空洞症の臨床的検討 ―臨床症候と画像診断の関連について―

川崎医科大学神経内科学教室へ過去5年間に入院した脊髄空洞症,計6例の臨床症候と画像診断における空洞の局在との関連を検討した.症候学的には,6例全例で上部頸髄,胸髄レベルの障害を認め,そのうち5例では左右差があった.delayed metrizamide CT (以下D-CTと略す),核磁気共鳴映像(以下MRIと略す)では,空洞が全例検出され,症候学的に左右差を認めた5例では空洞は偏在し,偏在側と症候学的に障害の強い側は一致していた.偏在箇所は,主に後角部にあり症状発現に後角の関与が示唆された.矢状断における空洞の上下方向の広がりに関して,症候学的診断とMRI上での診断を比較すると,両者の吻側への広がりは全例一致したが尾側への広がりは1例のみ一致したにすぎず,臨床症候がより広範囲の垂直方向への伸展を示した.このことは,脊髄空洞症に合併する側彎症のため画像上十分に空洞が描出できない可能性や小さな部分の空洞まで描出できない可能性のためと思われた,近年画像診断の進歩により本疾患が症候学すなわち典型的宙吊り型知覚解離に基づいて診断されていた時代から画像所見を加味して診断する傾向に変わりつつあり,自験例でも3例の非典型例を認めた.今後画像診断の発達によりこのような非典型的空洞症が増加する,とともに脊髄空洞症の概念が変わっていくと思われた.(昭和63年8月9日採用)
著者名
大賀 律,他
14
4
571-578
DOI
10.11482/KMJ-J14(4)571

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