h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

肺癌(腺癌)脳転移の放射線治療効果とCT像に関する検討

1981年から1987年までに,23例の肺癌(腺癌)脳転移症例に対し放射線治療を施行し,その治療効果とCT所見について検討した.すべての症例に造影CTが施行され,それによる脳病巣の造影パターンと病巣周囲浮腫の検討も行った.(1)放射線治療による腫瘍縮小効果(奏効率)および神経症状改善効果は,それぞれ82%, 65%であった.また,腫瘍縮小率と神経症状改善度との間には,相関を認めた.しかしこれら良好な治療効果も予後に影響することはなかった.このことより,肺癌(腺癌)脳転移症例に対する放射線治療は,有効な対症療法であると思われた.(2)脳転移巣のCTでの造影パターンと腫瘍縮小効果および神経症状改善度との間には,相関を認めなかった.(3)治療前後における脳転移巣周囲浮腫の改善度は,腫瘍縮小効果および神経症状改善度に関係しなかった.(4) 23症例の平均生存期間は, 4.1ヵ月であった.原発巣の制御が困難な場合,特に,今回の肺癌のなかでも腺癌の場合,脳転移への放射線治療は,全身疾患に対する局所療法にすぎないことを理解すべきである.(昭和63年8月13日採用)
著者名
平塚 純一,他
14
4
579-585
DOI
10.11482/KMJ-J14(4)579

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