Online edition:ISSN 2758-089X
肝癌自然破裂例における肝動脈塞栓術の有用性について
肝腫瘍自然破裂による腹腔内出血の誘因,ならびに緊急肝動脈塞栓術(transcatheterarterial embolization: TAE)療法の有用性について検討した.対象は,肝腫瘍破裂TAE療法群9例,肝腫瘍破裂TAE非療法群14例,肝腫瘍非破裂TAE施行群61例である.肝腫瘍破裂群は非破裂群に比ぺ,腫瘍占拠率でE3以上,門脈浸潤で一次分子以上の塞栓例,腫瘍形態では塊状型が多かった.以上より腫瘍の血管浸潤の有無が腫瘍破裂を来す重要な因子であることが明らかになった.しかし,各種肝機能検査においては、有意差が認められなかった.一方,肝腫瘍破裂症例の生存日数においてはTAE非施行群では平均16.4±20.5日に対し, TAE施行群では平均111±96.2日と有意な延命効果を認め,肝癌破裂に対するTAE療法の有用性が示唆された.(昭和63年9月3日採用)
- 著者名
- 井手口 清治,他
- 巻
- 14
- 号
- 4
- 頁
- 602-607
- DOI
- 10.11482/KMJ-J14(4)602