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Online edition:ISSN 2758-089X

各種肝疾患における血中エンドトキシン測定の臨床的意義

各種肝疾患166例について血中エンドトキシンを合成発色基質を用いた定量的リムルステストにて測定し,その臨床的意義について検討した.急性肝炎では全例血中エンドトキシンは陰性であったが,劇症肝炎では高率かつ高度のエンドトキシン血症を認めた.慢性肝疾患においては非代償性肝硬変および肝細胞癌に有意の血中エンドトキシンの上昇を認め予後を左右する因子であろうと思われた.また血中エンドトキシンと細網内皮系機能および一般肝機能との関係を検討した結果,肝疾患でのエンドトキシン血症の成因には細網内皮系機能の低下や肝血流量の低下のほかに,肝実質細胞のエンドトキシン処理能の低下も関与していると考えられた.以上より,血中エンドトキシンの測定により肝疾患の進展度や予後予測が可能であろうと思われた.(昭和63年9月22日採用)
著者名
大元 謙治,他
14
4
617-623
DOI
10.11482/KMJ-J14(4)617

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