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Online edition:ISSN 2758-089X

乳腺神経内分泌癌の一例

稀な癌である乳腺神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma: 以下NEC) を経験したので報 告する.患者は35歳の女性で,右乳頭直下に腫瘤を自覚し当科を受診した.画像診断で乳癌を疑 い,細胞診では乳頭腺管癌あるいは硬癌が推定された.針生検で浸潤性乳管癌と診断し,乳房温存 術とセンチネルリンパ節生検を施行した.腫瘍は乳腺原発であり,組織像は,小細胞癌などの神 経内分泌癌に類似していた.免疫組織化学的検査では,chromogranin A, synaptophysin, neuronspecific enolase 陽性細胞が大部分を占めていたためWHO 分類に従い神経内分泌癌の診断に至っ た.リンパ節転移は認めなかった.乳腺NEC は稀な癌であり,臨床病理学的な特徴,予後,治療 法についての定まった見解はない.本症例では,通常の乳癌同様に臨床病理学的予後因子に基づき 術後補助化学療法を行った.術後8年5カ月の時点で無再発生存中である. doi:10.11482/KMJ-J41(1)75 (平成27年6月17日受理)
著者名
関 真理,他
41
1
75-82
DOI
10.11482/KMJ-J41(1)75

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