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Online edition:ISSN 2758-089X

赤芽球癆を合併したT-cell large granular lymphocyte leukemia の一例

T-cell large granular lymphocyte leukemia は長期(6か月以上)にわたる末梢血中の著明な大顆粒リンパ球(large granular lymphocyte; 以下,LGL)の モノクローナルな増加によって特徴づけられる疾患で,しばしば赤芽球癆を伴うことが知られている.今回,我々はHCV 陽性肝硬変患者に赤芽球癆を合併したT-LGL の1例を経験した.末梢血および骨髄塗抹標本では細胞質内に微細なアズール顆粒を有し,核異型を示すリンパ球の増加がみられ,末梢血および骨髄のフローサイトメトリーおよび骨髄吸引クロット標本の免疫組織化学で,CD3,CD8,CD57陽性リンパ球の増加が確認された.骨髄細胞のPCR ではTCRβ の再構成を認めず,TCRγ およびTCRδ の再構成がみられた.またプレドニゾロン治療にてCD57陽性リンパ球の減少および赤芽球造血の回復が確認されたことから,赤芽球癆を合併したγδT-LGL と診断した.最近, T-LGL にはSTAT3あるいはSTAT5b のSH ドメインの遺伝子変異が高頻度にみられることが報告されているが,本症例においては,これらの遺伝子変異は確認できなかった.doi:10.11482/KMJ-J41(1)19 (平成26年10月28日受理)
著者名
藤原 英世,他
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19-26
DOI
10.11482/KMJ-J41(1)19

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