h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

正常肺における末梢気道の組織構築像の検討 I.厚切り切片標本による立体構築像解析への試み

肺の構造を機能の面からみると,気道系と気腔系の2つに大きく分けることができる.両者の接点となる呼吸細気管支や肺胞管はその移行帯と呼ばれ注目されているが,詳細な立体的構築については充分に明らかにされていない.剖検例の中からほほ正常とみなされる肺を各年齢層から選び,それぞれ40μmの厚切り組織切片標本を作製して,この領域の立体構築を明らかにすることを試みた.この方法では,1枚の組織切片で,末梢気道壁から肺胞壁に至るまでの組織構築を連続的に観察することが可能である.ヘマトキシリン・エオジン染色による観察では,末梢気道壁の構築保持には厚い結合線維束が骨格を形成し,加齢とともにこれらは太さを増していた.肺胞管壁にも同様の線維束が存在し,肺胞壁に向かって連続的に細い線維束が放出され,網の目状構造を作り,肺胞の構造を定めていた.また,肺胞壁は膜状物として透見観察され,通常切片ではみられない構造がその周囲の像と共によく理解された.
著者名
森谷 卓也,他
13
2
140-147
DOI
10.11482/KMJ-J13(2)140

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