血中αフェトプロテイン値の異常上昇を認めた慢性活動性肝炎(HBキャリアー)の1例 αフェトプロテイン(以下AFP)が肝細胞癌患者血中に増加することは広く知られた事実である。また,その他の良性肝疾患においてもAFP値が上昇し,一部では,かなりの高値を示すこともよく知られたことである。われわれはAFP値が1000 ng/mlと,肝細胞癌にも匹敵する高値を示したB型肝炎ウイルスキャリアーより発症した慢性活動性肝炎の1例を経験した。そこで本症例も含めて,今まで本邦で報告された主なAFP高値を示す良性肝疾患症例の病因と,それらのAFP最高値について文献的に考察し,同時に,AFP上昇の機序についても考案したので報告する。