h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

Estrogen誘発ラットProlactinomaの基礎的検討と各種薬剤に対する反応性に関する研究

Wister系ラットにestrogenを大量連続投与することによりprolactinomaを誘発し,下垂体重量,血中PRL値,光顕(H-E染色),光顕酵素抗体法および電顕を用いて観察した.さらに同モデルを用いてbromocriptine, tamoxifen, aclacinomycin Aの効果について検討し以下の結論を得た.(1)estrogenの大量投与によりラットにprolactinomaが誘発された.しかし,estrogenを中止すると退縮する傾向であった.(2)bromocriptine投与群では,下垂体重量,血中PRL値は著明に減少し,組織所見では電顕で分泌顆粒が著明に増加していた. bromocriptineの作用機序としてはPRL放出障害が推測された.(3)tamoxifen投与群でもbromocriptine投与群ほどではないが下垂体重量,血中PRL値は減少した.しかし,組織所見では明らかな変化は認められなかった. tamoxifenの作用機序は抗estrogen作用によるホルモン合成障害と考えられた.(4)aclacinomycin A 投与群では,血中PRL値のみ低下し,組織所見では出血,細胞壊死がわずかに認められたが,電顕所見では検索した限りでは変化は見られなかった.aclacinomycin A の作用機序はPRL合成における核酸合成障害が関与しているものと考えられた.
著者名
大塚 良一
13
1
1-13
DOI
10.11482/KMJ-J13(1)1

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