Online edition:ISSN 2758-089X
全脳型Creutzfeldt-Jakob病の1剖検例 ―特にその眼球病変について―
1年7か月の経過をとり,臨床的に全脳型Creutzfeld-Jakob病と考えられていた症例を剖検した.脳は重量が695 g で,び漫性に萎縮していた.眼球には肉眼的には変化はなかった.病理組織学的には大脳,小脳皮質,基底核,視床などに海綿状態,神経細胞の変性と脱落,原形質性アストロサイトの増殖,脂肪顆粒細胞の出現を認めた.大脳白質から中脳被蓋,橋にかけては広範に変性し,原形質性アストロサイトの増殖,脂肪顆粒細胞の出現を認めた.網膜では周辺網膜の外顆粒層に細胞脱落と空胞化,外網状層の変性,神経節細胞の変性と脱落,神経線維層の粗鬆化がみられた.本例の白質病変は皮質と同様の基質の変化,アストロサイトの増殖,脂肪顆粒細胞の出現などがみられたことより一次性変化と思われた.網膜の細胞脱落,空胞化,基質の粗鬆化なども大脳の変化と同様と思われ,網膜病変は一次性変化と考えられた.
- 著者名
- 梶川 泉,他
- 巻
- 13
- 号
- 1
- 頁
- 83-89
- DOI
- 10.11482/KMJ-J13(1)83