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Online edition:ISSN 2758-089X

胆嚢前癌性病変および胆嚢癌組織における腸上皮化生の検討

胆嚢粘膜の腸上皮化生が胆嚢癌の組織発生にどのように関与しているかを探る目的で,胆嚢前癌性病変および胆嚢癌組織内にみられた化生性変化の種類と頻度を組織学的に検討した.対象として腺腫8例,異型上皮7例,過形成性ポリープ20例,粘膜癌11例および進行癌37例の計83例を用いた.その結果,異型上皮では杯細胞,粘液腺および内分泌細胞が60~80%の頻度でみられ,また過形成性ポリープでも粘液腺,杯細胞,内分泌細胞およびパネート細胞がおのおの10~100%の頻度で認められた.しかし腺腫では杯細胞のみが25%にみられたにすぎなかった.また粘膜癌では杯細胞と内分泌細胞が22~36%で,進行癌では同様の細胞が8~16%で認められた.以上より,胆嚢粘膜の腸上皮化生は,種々の化生性変化を高率に伴う異型上皮や過形成性ポリープから癌化する場合に重要な役割を演じ,化生性変化を伴うことが少ない腺腫からの癌化にはあまり関与しないものと推定した.
著者名
佐藤 博道,他
13
3
234-241
DOI
10.11482/KMJ-J13(3)234

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